リテール業界のデータ分析を変える!特許を取得した「Urumo BI」の本当の価値とは?

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リテール業界のデータ分析を変える!特許を取得した「Urumo BI」の本当の価値とは?
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先日、生成AIを活用した購買データ自動分析機能 「Urumo BI」で特許を取得しました(プレスリリースはこちら)。フェズが特許を取得するのは、「Urumo Ads」のセグメントファインダー、「Urumo Explorer」に続き3件目となります。

今回は、「Urumo BI」の開発を主幹した、リテールメディア事業本部 副本部長 兼 プロダクト開発部長の青野さん(写真中央)、プロダクト開発部 プロダクト開発グループマネージャーの海沼さん(写真左)、同部 データテクノロジーグループマネージャーの小池さん(写真右)にインタビューしました。


「Urumo BI」を開発したきっかけは?

青野:
消費行動の変化や顧客ニーズの多様化が進み、注力すべき顧客が誰なのかが分からず悩んでいるマーケターが多いと感じています。

今年1月にアメリカで行われたNRFでは、One to Oneマーケティングなど、購買データを活用し顧客ごとに購買体験を最適化することの重要性が語られていました。しかし、6月にシンガポールで行われたNRF APACに出展した際、それについて現地の方々とお話しても反応が薄かったんです。アジアのマーケットでは、個々人のニーズよりもまだモノが強く、良いモノを作れば売れる状況にある。マーケットの成熟度によってマーケティング手法が変わるということを、改めて実感しました。

現在の日本では、アメリカ同様、購買データを使って顧客の解像度を高める必要があります。一方で、データ分析ツールを使っている人・使える人はごく一部に限られています。「Urumo BI」は、そんな「マーケティング業界の負」と「データ分析業界の負」に一石を投じるソリューションなんです。

小池:
フェズでは2年程前から、小売店様とメーカー様のデータ分析業務を削減し、バイヤー様と営業担当者様の商談を共通データで効率化するBIツールとして「Urumo Shopper」を提供してきました。

しかし、提供していく中で、使って下さる方と使っていただけない方の差が出てきてしまって。データは抽出できるけれど、そのデータを分析し行動に移すまでの過程には、離脱ポイントがいくつもあったんです。そこで、生成AIを活用してサポートすれば、ユーザーの離脱を防ぐことができ、もっと多くの方にご利用いただけるのではないか、と考えました。

海沼:
社内的な観点になりますが、プロダクト開発部では、同じようなBIツールを2つ開発しているという効率性の課題や、開発のPDCAをもっと速くまわすことで顧客提供価値を高めたいという事業上の課題がありました。2つのツールの裏側のロジックを整えることで「Urumo BI」として一本化し、さらに生成AIを活用してより高度なプロダクトを作ろうと考えたのもきっかけです。

「Urumo BI」のイメージ

「Urumo BI」とは、どんなツールですか?

海沼:
フェズでは、複数の大手小売企業様から購買データや店頭データなどお預かりし、横断的に管理・分析するリテールデータプラットフォーム「Urumo(ウルモ)」を開発・提供しています。「Urumo BI」は、生成AIの活用によりデータ分析の専門知識やスキルがない方でも「Urumo」のデータを分析し、マーケティング戦略の立案や実行に繋げられる機能です。

「Urumo BI」には、大きく2つの価値があります。

1つは、データ分析の難しさを生成AIを活用することで解消したこと。もう1つは、フェズのデータサイエンティストやデータアナリストが、小売企業様やメーカー様にとって必要なデータ分析の独自ロジックを予め策定しシステムに組み込んでおくことで、価値あるデータ分析ができるようにしたことです。

一般的なBIツールは、データの集計・可視化ツールに留まっていることが多く、実は本当の意味でデータ分析ツールと言えるレベルには至っていません。「Urumo BI」は、リテール業界のマーケティング課題を解決するために有効な、本当の意味でのデータ分析ツールを目指し開発しました。

(リテールメディア事業本部 副本部長 兼 プロダクト開発部長 青野 紳三郎)

「Urumo BI」の推しポイントは?

青野:
「実行性」の高さです。
例えば、化粧品メーカーの方が、自社商品の顧客解像度を上げるために「Urumo BI」を使って購買データの分析をするとします。分析の結果、その商品は成分重視の方が買ってくれやすいと分かったので、その方々(顧客クラスター)に対し商品の効果効能を前面に謳った広告を配信してみます。配信後、その広告を見た方が実際に商品を買ったのかどうなのかを確認し、次の施策へ繋げることができるんです。

「Urumo BI」と「Urumo Ads」を使うことで、データ分析に留まらず、そこから得られた結果を施策に活かし、さらに施策の効果検証までできる、フェズならではのソリューションと言えます。

小池:
小売企業様やメーカー様といった、リテール業界のユーザーに合わせて開発している点です。
「AI×データ分析」というと一般的になりつつありますが、ユーザーの視点からすると、AIによるデータ分析や解釈の精度が本当に実務で使えるレベルなのか、信頼できるのか、疑問に思われると思います。
「Urumo BI」は、これまで「Urumo Ads」や「Urumo Shopper」などリテール業界向けの様々なプロダクトを開発・提供してきたノウハウを活かして作ったBIツールです。

今回「Urumo BI」をローンチするにあたって、「Urumo Shopper」をご利用中のお客様に使ってみていただいたところ、「これまで、データ分析をすることが目的になってしまって、なかなかアクションに繋げられていなかったけれど、ここまで解釈が出てくると使う価値がある」といった、ポジティブな意見をいただいています。

(プロダクト開発部 データテクノロジーグループ マネージャー 小池 悠太)

開発にあたり、大変だったことは?

青野:
テクノロジーをプロダクト化するに当たっては、汎用性と専門性のバランスが重要だと考えています。誰が使ってもある程度使えるレベルにまで機能を広げることも必要なことですが、100人いたら100人が時々使うツールより10人が熱狂的に使うツールの方が、ビジネスとして適切な場合もある。今回、小売企業様やメーカー様向けに特化しつつ、その中でどうユーザーに刺さるプロダクトにしていくか、海沼さんや小池さんがプロジェクトマネージャーとしてエンジニアサイドとビジネスサイドの間に入り、奮闘してくれました。

小池:
「Urumo BI」は、小売企業様がメインで使うツールとメーカー様がメインで使うツールを1つにまとめた背景もあり、ユーザーの裾野が広がったことで、機能上は似ていてもユーザーによって優先度が違うという事象が発生しました。ビジネスサイドと連携して、この場合はこのユーザーを優先するといったチューニングが必要でした。

海沼:
今回、フェズとして初めてプロダクトに生成AIを活用しました。実は、プロダクト化するにあたって、経営陣から指摘が入ったんです。
「チャットツールでデータ分析できると、ユーザーにとって何が嬉しいの?」
仰る通り、ただのチャットツールでは意味がなく、自然言語を使ってデータ分析ができると、ユーザーにとってどんな価値が生み出せるのか。これまでのユーザー体験とどう違うのか。生成AIを活用するとどんなユーザーメリットやビジネス価値をもたらすのかという視点が、初めは不明確でした。

世の中に“生成AI”を活用したプロダクトがいろいろ出てきて、バズワードのようになっている昨今ですが、初期の構想段階でチームで議論を重ね試行錯誤したおかげで、ユーザーが実務で使える地に足のついたプロダクトにできたと思っています。

プロダクト開発部 プロダクト開発グループ マネージャー 海沼 玲史

今後、「Urumo BI」をどんなプロダクトにしていきたいですか?

海沼:
「Urumo BI」は、生成AIを活用することで、データ分析の専門知識がない方でも購買データを分析できるようにしようという「データ分析の民主化」をコンセプトにスタートしました。現在は、ユーザーの裾野を広げるというよりも、データ分析できる方がより深い分析をできるよう開発を進めています。
AIを使っているからスゴイのではなく、AIがどこに使われているか気付かないレベルに昇華させ、より価値のあるBIツールにしていきたいですね。

小池:
より深い分析について補足すると、これまでは定量データの分析が中心でしたが、「お客様の解像度を上げたい」「定性的にどのような顧客かを知りたい」というマーケターの方々のニーズに応えられるよう、定量データと定性データを掛け合わせたクラスター分析などを強化しています。今秋には、ご利用いただけるようになる予定ですので、ご期待いただければと思います。

青野:
「Urumo BI」が目指すのは、「どんな人が買っているのか」「なぜ買っているのか」「なぜ今この商品が売れているのか」といったマーケターの方々の疑問を解決することです。マーケターの方々が知りたい!と思った時に、まず「Urumo BI」を使ってみよう!と想起いただけるプロダクトにしていきたいですね。

リテール業界に向き合い続けてきたフェズのプロダクト開発部として、これからもデータとテクノロジーの力でマーケット課題に挑んでいきたいです。