フェズは、2023年3月24日、インティメート・マージャー社との共催でリテールメディアをテーマにオンラインセミナーを行いました。(開催概要および登壇者紹介はこちら)
セミナーの前半では、弊社デジタルビジネスプロデュース部長の安藤より、リテールメディアの定義やトレンドの説明に加え、来店・購買検証が可能な広告ソリューション「Urumo Ads」の紹介をさせていただきました。また、インティメート・マージャー社 代表取締役社長の簗島氏より同社のサービス紹介がありました。
後半では、「リテールメディアを使って何ができるのか」「リテールメディアの今後の見通し」をテーマに、簗島氏と安藤がディスカッションしました。
本レポートでは、その概要をお伝えします。
前半:リテールメディアの定義とトレンド(安藤)
「リテールメディア」というと、小売店様の店頭にあるサイネージやアプリを想起される方が多いのではないでしょうか。その定義は業界内でもまだ曖昧ですが、私共では狭義の定義と広義の定義があると考えています。
狭義には、小売企業様が所有・管理・運営するECメディアやインストアサイネージ、リテールアプリのこと。
そして広義には、小売企業様が持つ資産を多面的に活用して、消費者の購買行動に対して影響を与えるメディア関連サービス全般をさします。具体的には、リテールデータ(購買データ)といった小売企業様の持つ資産の活用、消費者との接点になる店頭・店内・棚前、レシートやクーポン、SNSアカウント等まで広く捉えることができます。
リテールメディアを活用した取り組みは、米国や中国のリテール企業が先行していて、特に米国のウォルマートが手掛ける、ID-POS情報を活用したリテールメディアプラットフォーム「ウォルマートコネクト」は、流通による広告事業の代表事例として有名です。
国内でも、リテールメディアへのニーズは高まっており、CARTA HOLDINGS社が出されている市場予測では今後の成長が見込まれています。
リテールメディアへのニーズが高まっている背景には、デジタルマーケティングにおけるCookie規制の影響に加え、メーカー様や小売企業様を取り巻くマーケティング環境の変化があります。
メーカー間の競争が厳しくなり、より費用対効果の高い、消費者に選ばれるためのマーケティングが求められており、リテールデータ(購買データ)の活用が求められているのです。
現在、リテールデータの活用に取り組むプレイヤーは複数いらっしゃいます。
例えば、ECデータを活用する企業群(Amazon社、楽天社等)や、ポイントデータを活用する企業群(ロイヤリティマーケティング社のPonta、NTTドコモ社のdポイント等)、単一流通データを活用する企業群(セブン&アイ・ホールディングス社、イオン社等)、複数流通データを活用する企業群(フェズ等)が挙げられます。
フェズでは、リテールデータプラットフォーム「Urumo」をベースにリテール企業様・メーカー様の課題を解決する様々なソリューションを提供しております。(詳しくはこちら)
後半:ディスカッション(簗島氏・安藤、モデレーター:五十嵐氏)
安藤:
リテールメディアに関するここ数年の変化としては、リテールデータの活用によってマーケティング領域でできることが広がったと思います。活用できるデータが増えたことで、広告配信時のターゲティングだけではなく、どのような施策を打てば消費者の購買に繋がるのか、検証やプランニングに使える活用の幅も以前より上がってきています。
簗島:
取得できるデータの種類自体は3~5年前から変化していませんが、データの使いやすさやデータを使うという意識が変わったと思います。以前は「OMO」や「O2O」といった言葉で表現され特別感のあった取り組みが、今では一般化されてきました。データをオープンに使えるような状況になってきたことで、小売店様にとっては販売の機会が増え、メーカー様にとっては認知を効率的に引き上げる機会が増えたと言えます。
五十嵐:
購買データの活用が進み、効果検証がしやすくなったということですね。
簗島:
メーカー様の観点では、購買データを活用することでより効果の高い広告が配信できるようになってきています。例えば、同じプロテインの広告を打つ場合でも、ターゲットが筋肉をつけたいと思っている人たちなのか、美容効果を期待している人たちなのかによって、発信すべきメッセージが違います。
リテールデータの活用によって、ユーザーごとに適切なメッセージを届けられるようになり、メーカー様にとっては費用対効果の高い広告配信で売上アップに繋がり、小売店様にとってもプラスになるという、良いサイクルが回り始めたと思います。
安藤:
まさに簗島さんがお話された、リテールデータを使った広告配信が当たり前になってきていると感じています。
リテールデータの活用によって、広告配信をはじめとした様々なマーケティング・販促施策が実際の購入や売上にどう貢献しているのかが明確になることで、ありがちなマーケティング部門と営業部門の壁も次第になくなってくると思います。データという共通言語に基づいて双方が合理的な判断を下せるようになり、よりよい施策が打てるようになるんです。
簗島:
モノが売れる、という終着点を考える企業がますます増えると思っています。
これまでは、認知が上がれば売上が上がるのか、「●●といえば●●」という想起のTop3に入れば売れるのか、●●というメディアに出せば売上が上がるのか、そこの因果関係がはっきりしませんでした。リテールデータの活用によって、売上に対する因果がわかりやすくなれば、成功の基準(より重要なKPI)がわかりやすくなり最適化が図れていくと考えています。
リテールデータを活用するのが当たり前になり、習熟していくと、使ったうえでどう効果を上げていくのか、より可能性が広がっていくと思いますね。
安藤:
リテールメディアの先にいる消費者が買いたいと思えるか、消費者にとってより有益なマーケティングを行うことで消費の活性化に繋がると思います。
これまで無駄やノイズになってしまっていた取り組みが、リテールデータの活用によって、商品と消費者の新たな出会いを創出し非計画購買に繋がれば、メーカー様にも小売店様にもプラスのサイクルを回すことができます。
また、メーカー様・小売店様、営業部門・マーケティング部門、それぞれの関係者が持つミッションのハブになるのがリテールメディアだと考えています。データをより有効に使うことでリテール業界全体の活性化に繋げていきたいですね。
簗島:
そうですね。リテールメディアは答えのあるマーケティング。コミュニケーションを円滑にしていく取り組みと言えます。
五十嵐:
消費者側にも運営する会社側にもよい施策なんですね!
以上、リテールメディアの定義から今後の展望まで、講演の概要をまとめてレポートしました。なお、本レポートでは両社のサービス紹介およびFAQは割愛いたしました。
ご不明点やご相談は、フェズのお問い合わせフォーム、もしくはインティメート・マージャーのお問い合わせフォームからお願いいたします。