2024年12月3日、フェズは創業10年目を迎えました。
創業者である伊丹の想いから始まったフェズ。着々と仲間を増やし、小売様やメーカー様、広告代理店様をはじめとする多くのお取引先・協業先・株主の方々に支えていただきながら、今日まで事業を拡大してきました。
しかし、ゼロから事業・市場を創る道のりには、様々な“HARD THINGS”も。
そこで今回は、フェズの創業メンバーである、執行役員 リテールパートナー本部長の豊木匡義(写真左)と社長室長の前田知憲(写真右)にインタビュー。創業期の様子や今後について聞いてみました。
お2人は、どのようなきっかけでフェズの創業に関わることになったのでしょうか?
前田:創業者の伊丹さんとは、Googleで一緒に働いていて、隣の席だったんです。当時、会社のフェーズも変わってきていて、それぞれで起業しようと準備をしていて。そんな時、伊丹さんから「起業する上で、ビジネスというか、商いというか、そんなことに精通している誰かいい人いない?前田さん友達多いでしょ?」と相談を受け、紹介したのが新卒時代にリクルートで同期だった豊木さんでした。
豊木:3人でご飯食べましたね。懐かしい。私自身も学生時代から起業していくつか事業をやったり、前職で役員をしたりしていたので、初めはできる範囲で手伝うという状況でした。2016年の春頃から業務委託として関わり、営業を担当していました。
前田:当時は、それぞれ自分の仕事があったので、土日や朝晩に喫茶店に集まって、事業モデルなどのディスカッションをしていたんです。
創業当初は、どのような事業を手掛けていたのですか?
前田:伊丹さん自身、リテール業界に対する想いや構想はあったものの、当初はまだ主軸となる、ご提供できるビジネスプランが固まっていなかったんです。
豊木:海外企業が日本にサービスを初上陸させた時の販売代理店とか、アフィリエイト広告のメディア展開とか、初めは、とにかく会社として倒れない状況をつくるために色々やりましたね。ただ当時から、O2O(Online to Offline)に関連するビジネスや今の取り組みの原型となるようなサービスはやっていたんですよね。
前田:初めは、給与を支払おうにも月末の入金がないと払えない、という月もあるくらいだったので、本当に色々やりましたね。色々一生懸命営業をしていたら、まだ会社としての形や明確な事業プランもないのに、利益が上がるという不思議な状況になったりもして(笑)
当時の社内はどんな様子でしたか?
豊木:初めて借りたオフィスは渋谷のワンルームマンションで、その後北参道に移転し、少しオフィスっぽくなりました。当時のフェズは業務委託とインターン生で成り立っていたのですが、オフィスが狭かったからインターン生の席はあるけど私たちの席はない、みたいな感じで(笑)
前田:2017年頃は人事担当をしていたんですが、正社員が入り始めて少しずつ会社として形になっていきましたね。あの頃フェズを選んでジョインしてくれたメンバーには、本当に感謝しています。赤尾さん(現社長)が顧問として参画してくださったのも、ちょうどこの頃でした。
小売様とはどのようにリレーションを構築していったのでしょうか?
豊木:小売様との連携準備をスタートしたのは、2018年頃でしたね。
どうやってデータ連携したんですか?という質問を時々受けるんですけど、特別なことは何もしていないんです。ただ、小売様を主役とした考え方、見方で、愚直に向き合ってきた。小売様のためになるビジネスだということを認めてくれるまで、あきらめなかったということですね。時期やお客様含めて運に恵まれたというのは大きいと思います。
何よりも実績のない我々を信じて一緒に取り組みにチャレンジして下さった小売様に感謝です。小売様からしてみれば、大切な顧客データを信用できない会社には預けられないですから、様々なお取り組みを通して、少しずつ信頼して頂けたのだと思っています。
前田:私も、豊木さんと手分けして小売様を訪問していました。今でこそ「リテールメディア」が注目され、データ活用することが主流になりつつあるんですが、当時はまだ自社(小売様)のデータを外部のパートナーに預けるとか、データを使って収益を上げるという取り組みはなかったんです。
その上、フェズ自身も立ち上がって数年のスタートアップだから、とにかく信頼してもらうこと、このビジネスにかけるパッションを伝えること、それしかなかったんですよね。
豊木:当時は、まだ誰もやっていないことだったので、なかなか理解されず難しいチャレンジではあったんですが、だからこそ先行できた。タイミングは良かったんだと思います。
また、リテールメディアは手段であり、リテール業界のお手伝いをいかに実現するかが変わらず重要なポイントであると信じています。
創業時と比べて、この10年で変わったなと感じることは?
豊木:業界の中で「フェズ」という会社が知られる存在になり、事業は各段にやりやすくなったなと感じます。年々、目指すソリューションや将来像に対する解像度も上がってきている感覚がありますね。会社という観点では、組織も大きくなり、上場を目指している会社らしくなったなと。
特に「小売業界のために」「小売様のために」という軸をぶらさずに向き合ってきたことが、取り組みになり、取り組みが結果として数字になり、信頼と評判につながってきたと感じています。
様々な取り組みをチャレンジしたお客様からご相談頂くことも増え、着実に積み重ねてきたことが信頼と数字につながっていることは大きな自信にもなっています。
前田:「リテールメディア」が注目され、ようやくマーケットにスポットライトが当たってきた感覚がありますね。メーカー様、小売様、ユーザー様を取り巻く環境変化が激しい中で、我々としても軸足を置きながらも柔軟に対応できるようになったことが、会社の成長を感じます。
逆に、変わらないなと感じることは?
豊木:まだまだ小売業界を変えられていない、まだまだ道半ばなんですよね。
前田:少しずつ変わってきているけれど、自分たちが目指す理想には遠いな、という感じですよね。マーケットに対する想いも変わっていません。
社内に関して言うと、フェズは初期の頃にジョインしたメンバーが今も結構活躍している。これは、スタートアップの中では珍しいのでは?と思います。フェズは、よく「人がいい」と言われますが、信頼できる仲間がいたからここまでやってこられたと思っています。一緒に走ってきた豊木の存在は本当に大きい。
豊木:それはお互いね。
これからのフェズについて、どんな会社でありたいと思いますか?
前田:やっぱり、小売企業様・メーカー様など、お取引先様から「ありがとう」と思ってもらえるパートナーでありたいですよね。
この10年、正直、何度も立ち止まりそうになったことがありました。
でも、赤尾さんから「このメンバーでできなかったら、日本中の誰がやってもなしえないんだから、好きにやってくれ」と言ってもらい任せてもらった。お取引先様が、まだ無名だったフェズをパートナーに選んでくださった。その信頼や期待に応えなければ!と思うことで、また動き出せたんです。
日々の1つひとつの仕事は、大変かもしれないし、前進している感覚が得られないこともあるかもしれないけど、何かを成し遂げるために投資した時間は、決して無駄にはならないと思うんです。仲間への感謝の気持ちも大切にしながら、お取引先様の「ありがとう」に繋がる“志事”ができる会社でありたいですね。
豊木:これまで、いわゆる“HARD THINGS”はたくさんありました。もっと楽な仕事はたくさんあるんでしょうけど、やっぱりフェズはこれからも「本質」を大切にしていきたいなと思います。
実は最近、初期から支えて頂いているお客様の責任者様へのご提案時に「うーん、つまらんなぁ。言ってることは正しいけど、それだけじゃん!フェズらしくないね!」というお言葉をいただきました。改めて我々はまだまだチャレンジできるし、その期待を頂いているんだと痛感し、まだまだ攻めていかなければと再認識しましたね。
フェズにチャンスを下さった方々の信頼を裏切ってはいけないし、小売業界にはまだまだ可能性がある。もっと変えていきたい、よくしていきたいというチャレンジを、現状に満足することなくし続けられる会社、ワクワクしながらチャレンジする人たちが集う会社であり続けたいですね。
私自身、これからも「熱狂」しながらチャレンジし続けます。