「リテールメディアは分岐点にある」フェズの部長陣が語る、市場動向とこれから

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「リテールメディアは分岐点にある」フェズの部長陣が語る、市場動向とこれから
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フェズでは、月末の金曜日に全社員が参加する「All Hands Meeting」をハイブリッド開催。

事業戦略や進捗、経営トピック等の情報共有を目的とした朝会(毎週月曜にハイブリッド開催)に対し、「All Hands Meeting」は会社について考える場として、Mission・Vision・Value/Co-Valueの浸透やメンバーの称賛等を目的に今春から行っています。

今回は、7月の「All Hands Meeting」〜最前線で戦うキーマンたちに聞く!リテールメディアのリアルとフェズの未来〜についてレポートします。


初の社内トークセッション

(リテールメディアについて説明する、事業企画部の宝田さん)

7月のAll Hands Meetingは、事業企画部の宝田大輝さんが企画運営を担当。~最前線で戦うキーマンたちに聞く!リテールメディアのリアルとフェズの未来~をテーマに、初めてトークセッション形式で行いました。

キーマンとして登壇したのは、リテールメディア事業本部 ビジネスプロデュース2部 部長の大沼広明さん、リテールDX本部 リテールDX部 部長の島田大喜さん、リテールメディア事業本部 ビジネス開発部 部長の根津スティーブン遥さんの3名です。



冒頭、宝田さんから「リテールメディア」の定義(トークセッションの前提)について、改めて説明されました。

従来から商品配架や販売促進施策として活用されてきたアプリやメールマガジン、サイネージ等、各小売企業様が持つメディアが『狭義の』リテールメディアで、フェズも企画開発・運用、メディア枠の販売に関して様々な小売企業様をサポートしています。

一方、『広義の』リテールメディアは、小売企業様の購買データを活用し、顧客起点で効果の検証や改善が可能なメディアを指し、マーケティングファネル上の認知から購入までを網羅しています。

米国と違い多くの小売企業様が存在する日本においては、個社で取り組むよりも、複数の小売企業様のデータを横断してお預かりし、適法かつ安全に統合プラットフォーム化して活用できるようにした方が、より価値を高められます。フェズはそれを創業時から構想し、2019年からリテールデータプラットフォーム「Urumo(ウルモ)」として開発提供してきました。


「リテールメディア」に対する意識変化は?


そして、いよいよトークセッション。

事前に社内で募集していた質問に対して、大沼さん・島田さん・根津さんの3人がそれぞれビジネス開発・小売企業様向き合い・メーカー様代理店様向き合いの立場からトークを繰り広げました。

宝田:直近、実際にメーカー様・広告代理店様・小売企業様と向き合う中で、「リテールメディア」に対する意識の変化を感じますか?

大沼:メーカー様・代理店様ともに、リテールメディア活用への意識は高まっていると感じます。「Urumo Ads(ウルモ アズ)」の提案でお話させていただく際、以前は、「購買ターゲティング」や「販促施策」というイメージを持たれる方がほとんどだったのですが、徐々に購買データを使ってマーケティング施策の質をどう上げていくか、データをどう活用していくかに意識が向いてきているように思います。
実際に、大手広告代理店でショッパーマーケティングの専門部署が設置されたり、大手消費財メーカーでリテールメディアの専門部署が立ち上がったりと、各社取り組みを開始されています。
一方で、現状まだ取り組みが始まった段階なので、本格的な活用はこれからという印象です。

根津:先日、「宣伝会議サミット2024(夏)東京」で登壇させていただいたのですが、セミナー後の名刺交換や参加者リストから、メーカー様・広告代理店様・小売企業様に限らず様々なソリューションベンダーの方々もご参加くださっていました。
「リテールメディア」への注目が高まり始め、皆さん新たなビジネスチャンスを掴もうと関わり方を模索している様子で、市場の裾野の広がりを感じましたね。 

島田:リテールメディアの捉え方は、確実に変わってきていると思います。リテール業界を取り巻く環境が変わる中、先行するウォルマート社の事例や国内小売の動きを見て、本業と別の収益を立てたいという意識が高まっているように感じます。

フェズの場合、いち早くこの領域に取り組んできたこともあり、すでに複数の大手小売企業様とは何らかの関わりを持たせていただいています。以前だと新規開拓をするハードルを感じていましたが、現在はそのハードルが低くなった気がします。先方から情報交換を依頼されることもありますし。
一方で、会社によって温度差や取り組みの進捗度はまちまちで、事業として確立するのはこれからという印象を持っています。


今後3年の「リテールメディア」市場をどう見る?

宝田:2027年までの3年間で、リテールメディア市場はどのように変化していくと思いますか?

根津:『広義の』リテールメディアという捉え方が定着していれば、市場規模が大きくなっていると思います。しかし、『狭義の』リテールメディアがフィーチャーされた状況だと限定的かもしれません。こうした状況の中で、フェズがメーカー様・小売様にしっかりと価値あるソリューションを開発・提供していけるか。みんなで市場を創り上げていかなければなりませんね。

大沼:営業という立場上、日々クライアント企業と向き合うことで手一杯になりがちで、3年後までなかなか想像しづらいというのが本音ではあります(苦笑)
ただ、日経クロストレンドが発表している2024年上半期トレンドマップ【マーケティング編】を見ると、リテールメディアの立ち位置は将来性は高いですが、収益性(経済インパクト)はあまり高く評価されていません。現状、期待値は高いものの、ビジネスとしてスケールできるかはこれからという状況です。
フェズのように、複数の小売企業様と連携してデータを活用できる企業がどう取り組むかで、そこが決まってくるのかなと思っています。

島田:リテールメディアは今、分岐点にあると思っています。リテールメディア市場が確立しスケールしていくには、メディアとして成立するかが課題だと考えています。
メディアに求められるのは、まず、アプローチ可能な規模感です。狙った人だけに届く精度も大切ではありますが、届く人数が少ないとビジネスとして成り立ちません。次に他メディアと同様に進行フローが整えられることです。小さなメディアが乱立し、広告主や代理店が、個々の小売ごとのルールでの進行しなければならない状況、各社の独自フォーマットに合わせてクリエイティブを制作し入稿しなければならない状況が続けば、手間と効果が見合わず、いずれ使われなくなってしまいます。
「Urumo Ads」のように仕組化されたソリューションが広がり、効果も実感でき、リテールメディアがメディアとして機能していくことが、リテールメディアの価値向上や広がりに必要なことだと思います。


このほかにも様々な質問が寄せられ、初の試みであるトークセッションはあっという間に終了しました。大沼さん・島田さん・根津さん・宝田さん、お疲れ様でした&ありがとうございました!