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Knowledge2026年06月23日

リテールメディアの最前線!AI時代でも揺るがない、インストアメディアの価値とは?

# リテールメディア# ブランドマーケティング# 小売
リテールメディアの最前線!AI時代でも揺るがない、インストアメディアの価値とは?

今や主要なマーケティングチャネルとなりつつある「リテールメディア」。アメリカではすでに市場規模が数兆円〜10兆円に達し、デジタル広告市場のインフラとして確立されています。国内でも6,000億円規模へ拡大。成長は加速するとみられており、数年内には1兆円の大台を突破すると見込まれています。

今回は、国内のリテールメディア市場に黎明期から携わってきた、フェズ サイネージ事業部 部長 兼 ストアギーク 取締役の安藤尚人に、リテールメディアの活用動向や成功の法則、AI時代の展望について聞きました。

「試しにやってみる」から「成果につなげる」へ。市場が迎えた転換点

―リテールメディア市場は、これまでどのような進化を遂げてきたのでしょうか。

「リテールメディア」という概念自体は以前からあり、関連するサービスも長く存在してきました。小売様の広告という意味では、折り込みチラシや店内のPOPなどが主流でしたが、2012年頃、Amazonが検索結果に連動する広告サービスを本格化させたのが、リテールメディアの始まりと言われています。その後、Walmartが「実店舗の膨大な購買データ」を武器に広告ビジネスを本格化させていきました。

クッキー(Cookie)規制が進む中、小売様が自社で持つ「ファーストパーティデータ」が注目されるようになり、「リテールメディア」という概念が世界的に広がっていきました。

日本では、2021年頃から徐々にビジネスが立ち上がっていきました。フェズの「Urumo Ads」の提供開始やストアギークの設立も、ちょうど2021年です。

—リテールメディアという言葉が一般的に広がったのは、2023年頃だったと思います。

そうですね。その後、この2〜3年でようやく「本格活用のフェーズ」に入ったという感覚があります。メーカー様も小売様も、リテールメディアを実際に使い始め、それに呼応して市場がより大きくなってきたと感じます。

サイネージに限って言えば、かつては「そこにメディアがあるだけ」という認識が主流でした。それが今では、どういう使い方がマーケティング戦略上効果的なのか、どうすれば購買行動に結びつくのかという議論に発展してきている。市場全体として、物珍しさで試してみるというフェーズから、しっかりとビジネスインパクトを期待して取り組むフェーズへと確実に変わってきたと思います。

―小売様やメーカー様のリテールメディアの活用度について、どのように見ていますか。

最も定着が進んでいるのは、やはり小売様の購買データをデジタル広告に活用するサービスです。大なり小なりどのメーカー様も取り組むことが当たり前になってきました。その流れの中で、小売様のアプリやサイネージにも興味を持ち始めるお客様が増えてきています。

ただ、サイネージやアプリが宣伝広告の世界で本格的に使われているかというと、まだまだこれからだと感じています。2〜3年前は、そもそもこういったものを宣伝広告目的で使うという発想自体がほぼなく、営業ツールの一つという位置づけでした。それが今は、営業部門だけでなくマーケティング部門の方々も意識し、具体的に活用し始めている。変化は確実にあります。ただ「本格活用」はこれから、という印象ですね。

上手くいくリテールメディアの条件と、インストアメディアの価値

―上手くいっているリテールメディアには、共通するポイントがあると思いますか。

小売様の観点・メーカー様の観点・消費者の観点、この三者のバランスが取れているかどうかが最も大事なポイントだと思っています。

どちらか一方に偏りすぎると、もう片方がついてこない構造になってしまいます。リリースはされたけれど結局使われない、というメディアが生まれてしまう背景の多くはここにあるように見えます。

逆に、小売様のデータや売場をメーカー様がマーケティングにいかに活用できるか、そのバランス感覚をサービス設計の中にうまく落とし込めているものが、実際に機能しているメディアになっているという印象です。

—ストアギークサイネージも、バランスを大事にしていると。

そうですね。サービス設計にはかなりこだわりました。

私たちは、インストアメディアには大きな可能性があると同時に、まだまだ課題の多いマーケットだという認識でスタートしました。

インストアメディアの価値とは何かを突き詰めたとき、「購買の意思決定にどこまで影響を与えられるか」に行き着きました。そこで、購買の直前、つまり棚の前という場所で、自然に目に入る構造を作ることにサービス価値を特化させたのが私たちのアプローチです。

お店は商品を買いに来る場所であって、テレビや映画館のように「これを見に行く」というコンディションにある場所ではありません。消費者の自然な行動の流れに沿って、視覚的・聴覚的な効果を届けられるメディアでないと意味がない。

しかし、従来のサイネージは、構造上どうしても見えにくかったり、入口やレジ付近という購買タイミングとずれた場所に設置されることが多かった。その課題を解決しているのが、私たちのサービスの核心です。

―自社以外で、安藤さんが注目しているリテールメディアサービスはありますか。

複数の流通を横断的にネットワーク化して、小売様とメーカー様双方のニーズを叶えようとするARUTANA(アルタナ)様のようなサービスには、同じ方向性を感じます。

またサイネージに絞って言えば、ファミリーマート様の「ファミマTV」はやはり存在感があります。消費者目線でも店頭で目立ちますし、意識されるメディアとして定着しつつある。フェアに見て、魅力的なメディアだと思っています。

AI時代に店頭が持つ意味―非計画購買の可能性

―AIの普及によって購買行動が変化する中で、リテールメディアの役割はどう変わっていくと思いますか。

消費者の購買行動には「計画購買」と「非計画購買」の2種類があります。インターネットが普及し、スマートフォンが当たり前になった20年間で、計画購買の精度は飛躍的に上がりました。AI時代になった今、それはさらに加速しています。求めている以上の情報が瞬時に手に入る時代ですから、計画購買はよりAIベースで最適化されていくでしょう。

ただ、みんなが計画購買しかしなくなるかというと、そうではない。お買い物の楽しみという意味での偶発的な出会い、毎回すべてを調べながら買っていると疲れてしまうという人間的な側面、こういった非計画購買のニーズは引き続き根強く存在します。

ストアギークサイネージは、その非計画購買を定番棚中心に活性化させるメディアです。AI側で最適化される購買とそうでない購買があるとすれば、私たちのメディアが支えるのは後者だと考えています。

―今後、ストアギークサイネージでは、どのような価値を提供していきたいですか。

棚前だからこそのコミュニケーション価値・メディア価値にとことんこだわって、「売場にそれがあることが当たり前」という状態を目指したいと思っています。消費者にとっても、小売様にとっても、メーカー様にとっても意味のあるメディアプラットフォームとして浸透させていきたいです。

テレビやデジタルで届けるべき情報と、棚の前でぱっと見た瞬間に伝えるべき情報とでは、コミュニケーションの作り方が根本的に違います。実際、メーカーのブランド担当者様からも「テレビやデジタルのノウハウはあるが、インストアのコミュニケーションはまだ科学されていない」というお声をよくいただきます。そういった議論を一緒にしながら、売場にあるべきコンテンツの最適解を探っていきたいと思っています。

また、郊外型と都市型の店舗では来店客の年齢構成が違いますし、朝昼晩でお客様がお店に来るモチベーションも違う。そこに合わせた配信の出し分けができるよう、デジタルマーケティング的な運用の柔軟性を高めていくことにも挑戦していきたいと考えています。

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